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ポータブル電源の「UPS機能」は業務用UPSと何が違うか
業務用のUPS(無停電電源装置)には、常時商用給電方式、ラインインタラクティブ給電方式、常時インバータ給電方式(ダブルコンバージョン)の3種類があります。このうち常時インバータ方式は、商用電力を必ず一度整流するため電源トラブルに最も強いタイプです。サーバやストレージ用途に使われているのは、このためです。
一方、EcoFlowは自社のEPS機能について「完全なEPS機能ではなく0msでの切り替えには対応しておらず、データサーバーやワークステーションのような完全なEPS機能を必要とするデバイスには使用できない」と公式に明記しています。つまり、ポータブル電源のUPS/EPS機能は、業務用UPSの簡易版だと考えておいたほうがいいということです。私は点検の現場で本物のUPSを見てきた立場なので、ここは正直に書いておきます。期待値を半分くらいに調整してから選ぶくらいが、ちょうどいいのではないでしょうか。
パススルー充電の仕組みと発熱・劣化リスク
パススルー充電とは、コンセントからの電力を接続機器へ優先的に供給し、余った分だけ本体バッテリーに充電する機能です。停電時にUPS/EPS機能を使うには、このパススルー状態にしておくことが前提になります。
EcoFlow公式は、充電と放電を同時に行うため発熱量が大きくなり、過熱防止機能がない製品では火災事故につながる恐れがあると説明しています。パススルー充電はバッテリーへの負荷も増えるため、寿命が早まるとも述べています。正直、これは地味に気になるポイントです。つなぎっぱなしで使う機能だからこそ、熱がこもりやすいのだと思います。さらに、ポータブル電源の最大出力を超える機器を接続した場合は、余剰電力がないため本体がいつまでも充電されません。私なら、ここは購入前に確認しておきます。
電子レンジのように立ち上がりの電力が大きい家電については、電子レンジが使えるかどうかの見方を別の記事にまとめています。
家で据え置きで使うのか、車にも積んで使うのかで、向いている薄型と据え置き型の選び方も変わってきます。
切替時間の目安と「対応できない機器」の共通ライン
Jackeryは、停電を検知すると20ms以内に自動でポータブル電源からの給電へ切り替わるEPS機能を提供しています。使用にはポータブル電源をACコンセントに接続し、パススルー状態にしておく必要があります。対応機器として照明、冷蔵庫、火災報知器、監視システムなどが挙げられています。同社のヘルプセンターによると、3000NEW・2000NEW・1000NEW・600PlusはUPS機能を、1000Plus・2000PlusなどはEPS機能(約20ms切替)を搭載しています。
Jackery 1000 Newを検討している方は、DELTA 3 ClassicとJackery 1000 Newの比較も判断材料になります。
Ankerの「Anker Solix C1000」は停電時にわずか20msでバッテリー給電に自動で切り替わります。採用しているのはラインインタラクティブ給電方式です。BLUETTIの「AORA 100 V2」はUPS切替時間10ms以内で、冷蔵庫やコンピューターをスムーズに稼働できます。ただし精密機器や医療機器の瞬断防止には適さない簡易モードだと、BLUETTI公式がはっきり明記しています。ここは読み飛ばしやすいので、私は資料を二度読み直しました。「AORA 100 mini」も停電発生時10ms以下で自動切り替わり、Wi-Fiルーターや冷蔵庫は停止・再起動させずに稼働を維持できます。ただし定格出力は700Wで、高度な精密機器への使用は推奨されていません。Jackery 1000 NewとBLUETTI AORA 100 V2を防災用途で比較する場合は、Jackery 1000 NewとBLUETTI AORA 100 V2を比較|防災用にはどう選ぶ?も参考になります。
切替時間を数値で確認しておきたい方には、ここで名前の挙がったBLUETTI AORA 100 V2の仕様が参考になります。
| 機種 | 切替方式・時間 | 備考 |
|---|---|---|
| Jackery 1000Plus/2000Plusなど | EPS 約20ms | 3000NEW等はUPS機能 |
| Anker Solix C1000 | 約20ms | ラインインタラクティブ方式 |
| BLUETTI AORA 100 V2 | UPS 10ms以内 | 精密機器・医療機器は簡易モードのため非推奨 |
| BLUETTI AORA 100 mini | UPS 10ms以下 | 定格700W、高度精密機器は非推奨 |
各社に共通しているのは、精密機器・医療機器への使用は推奨されていない、または使用を控えるよう案内されている点です。守れるのは冷蔵庫・照明・Wi-Fiルーターなど、瞬断に比較的強い家電までと考えておくのが現実的ではないでしょうか。正直なところ、精密機器・医療機器以外でどこまでの家電が瞬断に弱いかという線引きは、各社の一次情報では確認できませんでした。ここは歯切れの悪い書き方になってしまいますが、分からないことは分からないと書くようにしています。
スマホの充電だけが目的なら、わざわざポータブル電源を使わなくても、モバイルバッテリーで足りることもあります。停電時のスマホ充電の選び分けも見てみてください。
UPS用途でのポータブル電源の選び方チェックリスト
- 必要性:停電中に止めたくない機器を先に決める(医療機器・精密機器は前提から外す)
- 実用性:パススルー充電に対応しているか、切替時間が数値で公表されているか
- 操作性:UPS/EPSへの切り替えが自動で行われるか
- 保管性・維持管理:パススルー常用時の通気確保と、バッテリー劣化への配慮
- 価格:販売先で確認する
パススルー充電やUPS表記のある製品を具体的に確認したい場合は、UPS/パススルー対応と明記された製品を選ぶのが基本です。自動切替機能を明記した製品の一例として、BLUETTI AORA100 ポータブル電源(1152Wh・自動切替機能搭載)が挙げられます。
必要な容量の目安は、使う家電の消費電力から計算します。冷蔵庫を守りたい場合の条件はポータブル電源で冷蔵庫は使える?購入前に確認する条件、容量全体の考え方は防災用ポータブル電源は何Wh必要?使う家電から考える容量の選び方で確認してください。冷蔵庫を含め複数の家電を長めに守りたいなら、大容量帯も選択肢に入ってきます。例えば、BLUETTI AC240P ポータブル電源(1843Wh・簡易UPS機能搭載)やBLUETTI AC200PL ポータブル電源(2304Wh・簡易UPS機能搭載)です。私なら、まず冷蔵庫1台を守れる容量を基準にして、そこから他の家電を積み上げて考えます。
エアコンを積み上げる家電として考えている方には、エアコンが動くかどうかの見方も別の記事で書いています。
大容量帯でUPS機能を備えた例として、AC240Pの仕様も確認しておくとよいでしょう。
停電時の運用で見落としやすい注意点
NITE(製品評価技術基盤機構)は、ポータブル電源は複数のリチウムイオン電池を搭載しており、一度発火すると複数個の電池が次々に発火して大きな火災につながるおそれがあると注意喚起しています。リコール対象製品を使い続けて発火した事例も挙げています。対象製品は異常の有無に関わらず直ちに使用を中止し、販売店または製造事業者に連絡するよう推奨しています。これ、地味に重要な話です。異常がないから大丈夫、とは考えないほうがいいと思います。
私は建物管理・消防設備点検の仕事で、非常用発電設備の自動起動・自動切替の考え方に触れる機会があります。ただ、これは点検・維持管理された設備の話です。家庭用ポータブル電源の自動切替とは、仕組みも信頼性の前提も別物だと考えています。ここは一般論として押さえておく程度にとどめ、過度に安心材料として扱わないことが、私の実務上の感覚です。
家庭用の発電機との使い分けに迷う場合は、発電機とポータブル電源の違いも参考にしてみてください。
UPS用途でポータブル電源を探しているなら、BLUETTIの取り扱いラインアップも確認先の一つになります。
